英語の that said は、前に述べた内容をいったん受け止めたうえで、「とはいえ」「そうは言っても」と別の視点を足したいときに使う表現です。
単なる but よりも少し整った言い方で、会話でも文章でも使いやすいのが特徴です。
「前の内容を否定する」というより、前の内容を認めながら補足・修正する感覚で使うと自然です。
この記事では、that said の意味・使い方・文章と会話での違い・似た表現との違いまで、初心者にもわかるようにまとめて解説します。
that said の意味
that said の基本の意味は、次のとおりです。
- とはいえ
- そうは言っても
- それでも
- とはいうものの
ポイントは、前に言ったことを受けていることです。
たとえば、
The hotel was small. That said, it was very clean.
そのホテルは小さかった。とはいえ、とても清潔だった。
この文では、最初に「小さい」という情報を出し、そのあとで That said, を使って別の見方を加えています。
つまり 「小さいのは事実。でも、それだけではない」 という流れです。
that said = ただの逆接 と考えると少しズレます。
実際には、前の発言を受け止めたうえで、話を少し整えて続ける表現と考えるとつかみやすいです。
that said のニュアンス
that said には、前の内容をいったん認めるニュアンスがあります。
たとえば but だと、次の内容に話が強く切り替わることがあります。
It’s expensive, but I want it.
一方で that said は、もう少し落ち着いて、
値段は高い。
とはいえ、ほしい気持ちはある。
というように、バランスを取りながら話す印象になります。
特に次のような場面と相性がいいです。
- 良い点を言ったあとに注意点を足す
- 悪い点を言ったあとに前向きな面を足す
- 一方的に聞こえないように意見を調整する
- 文章の流れをなめらかにしながら逆の視点を入れる
that said の使い方
基本の形
もっとも基本的な形はこれです。
A. That said, B.
つまり、
- 先に内容 A を言う
- That said, を入れる
- 補足・修正・別視点の内容 B を続ける
という流れです。
例を見てみましょう。
This book is a bit difficult. That said, it’s worth reading.
この本は少し難しいです。とはいえ、読む価値はあります。I’m tired today. That said, I can still help you.
今日は疲れています。そうは言っても、手伝うことはできます。
覚えやすい考え方
that said は、次の日本語に置き換えると理解しやすいです。
| 表現 | 近い日本語 | ニュアンス |
|---|---|---|
| that said | とはいえ | 前の内容を受けて別の面を足す |
| but | でも | シンプルな逆接 |
| however | しかし | やや書き言葉寄りの逆接 |
| even so | それでも | 前の事情があっても変わらない感じ |
「前の内容を受け止めてから、少し角を立てずに言い直す」ときは、that said がとても便利です。
that said は文章と会話の両方で使える
that said は、文章でも会話でも使えます。
ただし、使われ方の印象には少し違いがあります。
文章で使うとき
文章では、説明文・ビジネス文・レビュー・意見文などでよくなじみます。
たとえば、
- 商品レビュー
- メール
- プレゼン資料
- ブログ記事
- エッセーや意見文
のように、一つの意見だけで終わらせず、別の視点も加えたい場面で自然です。
例:
Sales were lower this month. That said, customer satisfaction improved.
今月の売上は低かった。とはいえ、顧客満足度は改善した。
会話で使うとき
会話でも使えますが、かなりくだけたスラングというよりは、少し整った話し方に聞こえます。
そのため、
- 仕事の会話
- 落ち着いた雑談
- 自分の意見を整理して話す場面
では使いやすいです。
一方、友だち同士の軽い会話なら、場面によっては but / still / even so のほうが口語的で軽く聞こえることもあります。
たとえば、
I don’t love horror movies. That said, this one was really good.
ホラー映画はあまり好きじゃない。とはいえ、これは本当によかった。
このように言うと、ただ反対するのではなく、評価をバランスよく伝えている感じになります。
that said と however の違い
that said と however は、どちらも「しかし」「とはいえ」と訳せることがあります。
ただ、使ったときの印象は同じではありません。
that said
that said は、直前に自分が言ったことを受けて話を続ける感じが強い表現です。
つまり、
- 前の内容を認める
- そのうえで別の視点を足す
- 話をやわらかく調整する
という流れに向いています。
however
however は、もっと広く使える逆接表現です。
前の内容との対比をはっきり見せたいときに便利ですが、that said ほど「さっき言ったことを受けている感じ」は強くありません。
比べると、こんな違いがあります。
| 表現 | 印象 |
|---|---|
| that said | 前の発言を受け止めて補足する |
| however | 逆の内容を論理的につなぐ |
たとえば、
The plan is risky. That said, it may be our best option.
その計画にはリスクがある。とはいえ、それが最善策かもしれない。
これは、リスクを認めつつ判断を加える言い方です。
The plan is risky. However, it may be our best option.
その計画にはリスクがある。しかし、それが最善策かもしれない。
こちらでも意味は通じますが、that said のほうが少し自然に「いったん認めてから続ける」感じが出ます。
that said と having said that / that being said の違い
having said that との違い
having said that は、that said とかなり近い表現です。
多くの場面で、ほぼ同じように使えます。
The room is small. Having said that, it’s comfortable.
部屋は小さいです。とはいえ、快適です。The room is small. That said, it’s comfortable.
部屋は小さいです。とはいえ、快適です。
意味の違いを気にしすぎる必要はありません。
迷ったら、短くて使いやすい that said を覚えておけば十分です。
that being said との違い
that being said も近い表現です。
ただ、こちらは少し長めで、場面によっては
- そうは言っても
- それはそれとして
- というわけで
のように聞こえることがあります。
初心者のうちは、まずは that said を軸に覚えると使いやすいです。
that said の例文
ここでは、会話で使う例と文章で使う例に分けて紹介します。
会話で使う例文
A: The test was hard.
B: That said, I think I did okay.
A: テスト難しかったね。
B: とはいえ、まあまあできたと思う。I don’t usually wake up early. That said, I got up at six today.
普段は早起きしません。とはいえ、今日は6時に起きました。He can be strict. That said, he’s a very good teacher.
彼は厳しいこともあります。とはいえ、とても良い先生です。
文章で使う例文
The app is simple and easy to use. That said, it lacks some advanced features.
そのアプリはシンプルで使いやすいです。とはいえ、高度な機能はいくつか不足しています。Our results were not perfect. That said, they show clear progress.
私たちの結果は完璧ではありませんでした。とはいえ、はっきりした前進は見られます。The trip was expensive. That said, it was one of the best experiences of my life.
その旅行は高額でした。とはいえ、人生で最高クラスの経験の一つでした。
自分で使いやすい型
そのまま使いやすい形も覚えておくと便利です。
- It’s true that A. That said, B.
Aなのは事実です。とはいえ、Bです。 - A may be true. That said, B.
Aはたしかにそうかもしれません。とはいえ、Bです。 - I understand A. That said, B.
Aという点はわかります。とはいえ、Bです。
たとえば、
I understand your point. That said, I don’t completely agree.
あなたの言いたいことはわかります。とはいえ、完全には同意していません。
この形は、意見がぶつかる場面でもやわらかく言えるので便利です。
that said を使うときの注意点
1. 前の内容を受けていないと不自然
that said は、前の発言を受ける表現です。
そのため、急に関係ない話題に飛ぶと不自然になります。
不自然な例:
I like coffee. That said, my brother lives in Osaka.
この2つにはつながりがほとんどないので、that said は合いません。
自然な例:
I like coffee. That said, I try not to drink too much of it at night.
コーヒーは好きです。とはいえ、夜は飲みすぎないようにしています。
2. 使いすぎると文章がくどくなる
便利な表現ですが、何度も使うと文章が単調になります。
同じ段落の中で何回も出すより、
- however
- still
- even so
- nevertheless
- but
なども使い分けると読みやすくなります。
3. まずは「That said,」の形で覚える
初心者のうちは、文頭で「That said,」と置く形で覚えるのがおすすめです。
A. That said, B.
この形で覚えておくと、ミスが少なくなります。
that said の言い換え表現
「とはいえ」と言いたいとき、いつも that said だけを使う必要はありません。
場面に応じて言い換えると、表現の幅が広がります。
| 表現 | 日本語のイメージ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| that said | とはいえ | 前の内容を受けて補足したいとき |
| however | しかし | 論理的に逆接したいとき |
| even so | それでも | 前の事情があっても変わらないとき |
| still | それでもなお | 会話で軽く言いたいとき |
| nevertheless | それにもかかわらず | かための文章 |
| having said that | そうは言っても | that said に近い言い方 |
たとえば会話なら、次のような使い分けができます。
It was cold. Still, we had fun.
寒かった。それでも、楽しかった。It was cold. That said, we enjoyed the trip.
寒かった。とはいえ、旅行は楽しめた。
後者のほうが、少し整理された話し方に聞こえます。
よくある疑問
that said は but と同じですか?
完全に同じではありません。
but は単純な「でも」ですが、that said は
「今言ったことはその通り。そのうえで、別の面もある」
という流れを作る表現です。
that said は失礼ですか?
失礼ではありません。
むしろ、相手の意見や前の内容をいったん受け止めてから話せるので、丁寧に聞こえることもあります。
ただし、とてもくだけた場面では少し整いすぎて聞こえることがあります。
that said は会話であまり使わないですか?
会話でも使えます。
ただ、超カジュアルな雑談では but や still のほうが軽くて自然なこともあります。
that said のあとにコンマは必要ですか?
実際には That said, の形で使われることが多く、まずはこの形で覚えておけば大丈夫です。
まとめ
that said は、「とはいえ」「そうは言っても」と、前に言ったことを受けながら別の視点を足す表現です。
覚えておきたいポイントは次の3つです。
- 前の内容をいったん認めてから話を続ける
- 会話でも文章でも使える
- まずは A. That said, B. の形で覚えると使いやすい
英語では、ただ反対するだけでなく、一度受け止めてから言い換えると自然に聞こえることがよくあります。
そのときに that said はとても便利です。
まずは次の1文をそのまま覚えてみてください。
It’s true. That said, there’s another side to it.
それはたしかです。とはいえ、別の面もあります。
この感覚がつかめると、that said はかなり使いやすくなります。
